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日本のコロナ対策がここまでグダグダになった理由⑥

2020/09/23

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 -FINDERS- 2020年9月2日記事

『「人々の不安を煽るワイドショー」は変われるのか。西田亮介が「コロナ危機」の政府・行政・メディアを振り返る【後編】』

https://finders.me/articles.php?id=2234  >


テレビでよく見かける「着色されたウイルス画像」はすでに“演出”である

―― メディアについてはまずもって一番問題だと思ったのは、特に地方のコロナ陽性患者について「本人が特定できちゃうだろう」というレベルで年代・職業・行動履歴といったプライバシーがメディアで垂れ流されてしまったことです。なぜあんなことがまかり通ってしまうのでしょうか。

西田:実名報道の原則じゃないですか。去年の京都アニメーションへの放火事件でも議論がありましたよね。近頃はプライバシーが言われるようになりましたけど、やはりできるだけ実名で報じたい、報じないと伝わらないものがあるというのは各社の見解としてあると思いますし、記者との勉強会で意見交換してもその意思を感じます。現場ならではの肌感覚があるのか、世代の問題なのか。施設名などについては今でも営業妨害とか訴訟とかが起こり得るので自重気味ではあります。

最近は行政機関、例えば警察などが個人名を出さないケースがあり、これは問題だと思います。ただそれをマスメディアが広く流通させる段階で実名報道しなければいけないのかというと、結構疑問を持っています。

―― 『コロナ危機の社会学』においてはメディアについてはあまり肯定的な評価が書かれていなかった印象もありますが、何かあるでしょうか?

西田:例えば東洋経済オンラインや日経新聞、JX通信社などがネットで感染者情報のわかりやすいインフォグラフィック化したことでしょうか。加えて病床情報とかをオープンソース的にやっているプロジェクトもあり、そうした取り組みは良かったと思います。


一方課題は挙げるとキリがないですが、諸悪の根源はテレビの情報番組、ワイドショーで誤った、あるいは極端な意見も「専門家の話」として広く流通していることだと思います。放送内容は画像・動画がSNSでも流通していくので、人々の不安を掻き立てる情報が一気に届いてしまう。

あるいはウイルスの色を毒々しいものにした画像を見た人は多いと思うんですが、電子顕微鏡の写真は白黒なので、「着色する」「着色された画像を選ぶ」ということは誰かの意図が働いています。加えてコロナ関連のニュースには不穏なBGMや男性の重々しいトーンのナレーションが入っていたりして、つまり人を不安にさせる演出なわけです。ああいうのは本当に良くないと思いますし、これが良いことなのかはもっと問われていいと思います。

―― 西田さんご自身もそうした番組に度々出演されていますが、「なるほど内部はこうなっているんだな」という発見はありましたか?

西田:よく「テレビ制作の現場に専門性がない」ということが言われますけど、局の製作者にしろ制作会社にしろ、ほとんどのスタッフは「番組演出の専門家」なんですよね。ただ世の中的には各分野の専門家の意向が反映されていると思われている。番組によっては記者さえいないケースもあり、社内のデータベースに突っ込まれた記事・映像集があって、「今日はこの人がコメンテーターだからこう繋いでいこう」「午前中の番組はこうだったからこういう風に変えよう」といったかたちで当て込んでいくことがメインになっていることもある。

また、「ネットで話題」みたいなことが制作現場でものすごく意識されていて、テレビとネットは共犯関係にあるわけです。「○○社の調査によるネットでの人気ランキング」みたいな企画もよくありますけけど、その調査方法にどれほどの妥当性があるかは問われず、放送後にはネットで「この番組で取り上げられました!」と発信・拡散され、権威性を帯びていくのは問題だなと思っています。

情報番組の視聴率は大体10%前後ですが、単純に考えれば視聴者が数百万人、一千万人ぐらいいる計算になりますが、ネットではそういうコンテンツ・媒体はほとんどないですよね。やっぱり未だにテレビは影響力のあるコンテンツで、良くも悪くもSNSとの相性も良い。

―― この現状は変えることはできるのでしょうか?

西田:テレビの世界はある種政治の世界とも似ていて、悪名は無名に勝ります。例えば「モーニングショーの玉川さんは間違っている」と批判された時に「じゃあどんなことを言っているのか」とテレビをつけたらもうそれで良いわけです。テレビ番組の評価は視聴率のみ、つまり質を測る仕組みがなかったからですね。ウェブメディアのPV至上主義と似ていますよね。

ただ、これが変わる可能性がまったく無いとは思っていなくて。以前幻冬舎の箕輪厚介さんのハラスメント問題がありましたが、すぐに『スッキリ』のコメンテーターを降板になりましたよね。コンプラとか世の中の評価みたいなものを、昔よりは気にするようになってきたということだと思います。なので「これは問題だ」ということをちゃんと筋が通るように言っていると、投瓶通信みたいにいつか変わるかもしれないと思っています。


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⑦に続く



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